チェイスと家族の絆
長くなってしまいましたが、そんなこんなでゆうさんにとって初めての保護犬チェイスを迎えてからの1年は、そりゃもう学ぶべきことの多い年となりました。
この回で終わりますから。もうこれ以上ぐだぐだ書いたりしませんので、どーぞお付き合いをお願いします。(m。_。)m

「お願いしますのだー」byエビス
前回の「チェイスの変化」のエピソードで、「それは本当に突然」と書きましたが、実は語弊があります。
家族になったばかりの頃は「オフリード」で散歩を楽しんでいたチェイス。
それがいつからか「オンリード」になったこと、皆さんはお気付きだったでしょうか?
私も無意識のうちにいつからか、チェイスをオフリードにすることは無くなってきていました。
たとえあと10mの距離でも、決して離さなかったチェイスのリード。
チェイスの変化に気付いていたのは明らかですね。
きっかけになったのは、配達のお姉さんに「チェイスが怖い」と言われたことです。
最初はすれ違う人、ほとんどの皆さんに「レスキュー・ドッグ?」と聞かれるほどおどおどしていたチェイス。
公共の場での注目度は高く、「そうなんですよ!レスキュー・ドッグなんです!」っていうゆうさんの鼻も高かったのかもしれません。
今では反省しています。
それがいつからか、「お宅の犬が怖い」とお散歩ですれ違う方からも注意されるようになります。
我が家の家族になって6カ月。チェイスの自信は知らず知らずのうちについて、周囲を脅かすまでになっていたようなんです。
実際チェイスは、どんなトレーニングも瞬時に理解し、完璧にこなす。
トレーナーさんからは「見本としてビデオに撮らせてもらっていいかしら?」と言われるほどでした。
positive reinforcementが一般的であるニュージーランドのドッグ・トレーニング。
とにかく毎日チェイスのことをほめて褒めて、褒めまくっていた日々。
これが直接、チェイスの攻撃性に繋がったわけではありません。
チェイスが6歳でなかったら。
チェイスの6歳までの生活環境が違っていたら、100%良い方向にチェイスを導いていたに違いないと思うのです。
でも、チェイスは理解できなかった。
「褒められる」ということで、新しいコマンドはすぐに覚えてくれたけど、それがチェイスの6年間をリセットしてくれるわけではなかった。
チェイスはとても困惑していたんだと思います。
そして「その日」はやってきました。
その頃はもう、猫たちもガレージを卒業してお外にすっかり慣れ、犬たちとのコミュニケーションを学んでいたときです。
もちろん目を離すことはできなかったので、常にエビスとチェイスが猫たちを傷つけないよう見張っていたそのとき!
子猫アーネストが何かに反応して、家に飛んで入ろうとしたそのとき!
チェイスが子猫アーネストを噛んだのです。(すばやく逃げたので無傷でしたが)
チェイスの本能が「家族であるアーネスト」を「目の前で動く獲物」に瞬時に変換してしまった模様です。
その時点で既に「猫たちはいなくてはならない存在」であり、「守るべき家族」だったので、ゆうさんは怒りにまかせて
デッキにあったコーヒー・テーブルを「うおおおおおおっ!」と、ひっくり返してしまいました。(結構重い)
その姿はまるで、ちゃぶ台をひっくり返す星飛雄馬のお父さんです。
人間、怒りを表現したかったらちゃぶ台をひっくり返すようにできてるらしい・・・(汗)。
「こんなに頑張ってるのに」。
「今度何かあったら安楽死はまぬがれないのに」。
「こんなに愛してるのに、何でわかってくれないの!」。
フラストレーションが一気に爆発した瞬間。
それまで「お腹がすいたよー!」と、うるさかった羊たちやペンペン(豚)、アヒルたちが一斉にシーン!となったので、感情のぶれはよほどだったと思われます。
もちろんチェイスを肉体的に傷つけないように、怒りの対象はちゃぶ台・・・じゃなかった、コーヒー・テーブルだけでしたよ。
私は限りなく落ち込んで、チェイスに「反省しなさい!」と言い残したままファームの隅で泣いていました。
「もうダメだ」「これ以上どう頑張っていいのかわからない」
思い通りにならないチェイスのシチュエーションに、諦めなくてはならないのかと思ったその日。
チェイスの態度が180度変わったのです。
あまり好まれる方法ではないかもしれませんが、怒りを表現したことにより「この線だけは決して越えてはダメ!」という境界線が、はっきりとチェイスに伝わった模様です。
その境界線が現れたことで、チェイス自信の家族(群れ)における立場や役割が明確になったみたいなんです。想像なんですけどね。
そこで初めて気付きました。
チェイスに必要だったもの、私に欠けていたもの。
それは「リーダーシップ」だったんだと。
実は・・・
当時、私はものすごーく弱っていました。
クロエちゃんが他界して以来、大変弱い人間になっていたのです。
保護犬チェイスが「強いリーダーシップ」を必要としていたとき、私はそれを与えることができなかったんです。
この日の出来事以来、一度も怒ったりはしていません。
あの日、あの時、「チェイスの理解できる言語」で「わたしがリーダーなんだぞ」と伝えるのは一度で十分だったみたい。
以降、わたしのチェイスに対する態度に一貫性が生まれ、自覚をもって接するようになりました。
後日、獣医さんに「こんなことがあってー」と報告したら、「守る対象ができてはじめて、あなたのリーダーシップが発揮されたのね~」と言われました。
「あなたとチェイスには猫たちが必要だったのよ。」とも。

お互いの感情をぶつけあったあの日。
それまでどんなにトレーニングを繰り返しても縮まらなかった「あとちょっと」のチェイスとの距離が、一気に縮まったあの日。
本当にあの日以来、チェイスは猫たちにとても信頼されています。
信頼されすぎて、時には猫たちにぼこぼこにやられることもあります(笑)。
そんなチェイスを笑顔で見つめながら、「ありがとう」「ごめんね」を繰り返しています。
大変長くなってしまいました。
チェイスと私のこの一年、読んでくださってありがとうございます。
6歳で我が家にやってきた保護犬チェイス。
1年近くかけて、ようやく家族になれました。
わたしは一生チェイスを守りますよう。

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