さよならを告げられた日
4月のはじめの出来ごとです。
ここ数カ月、だんらんに加わろうとしなかったクロエちゃんが
私とエビスが座るソファーの目の前にやってきてはっきりとこう伝えます。
I will remember you.
(ママとエビスのことを忘れないからね)
Will you remember me?
(覚えていてね、クロエちゃんのこと)
とてもびっくりして動揺して、どうしてもこの瞬間を残さなくてはならないと
写真を撮りました。
そしてその一枚を次の日に特別な場所に保管しています。
そうしなくてはいけない気がして。
この日から私は新しいノートにまた記録をはじめました。

最初のページはたった一行だけ。
その翌日からのページはとても賑やかになります。
クロエちゃんがご飯を食べなくなり、獣医さんに通い始めた初日だったので。
それからはしばらくびっしりと書き込まれたページが続きます。
手術から無事生還してくれて、家に帰ってきた瞬間
立ちあがってトイレに行って、お水も飲んでやる気を見せてくれたクロエちゃん。
彼女の私への思いやりだったのかな。
この時点で「ああ、本当に手術してよかった」と思わせてくれましたから。
その後、つきっきりで側にいたら、私の膝で甘えてくれたり
私の手からお水を飲んでくれたクロエちゃん。
寝なきゃ体力回復しないよ、って言い続けたのにずっと起きていて
じっと私のことを見ていたクロエちゃん。
その日の夜、全く寝なかったクロエちゃん。
しっかりとした目で疲れなど一切見せずに
じっと私から目を離さなかったクロエちゃん。
それから12時間後にやってきた別れ。
2015年5月8日の午後6時前。
しばらく記録ノートは開くことができなかったけど
クロエちゃん旅立ちの後も不思議なことがたくさん起こったので
書きとめておこうと勇気をもって久しぶりに開いたノート。
最初のページを開いてみました。
その日の日付は4月8日。
クロエちゃんの旅立ちのちょうど1か月前でした。
そのページに綴られていた一行は

「クロエちゃんがじっと見つめていた夜」。
本当は「さよならを告げられた日・・・?」と書こうとしていたんだけど
いやいや縁起でもない、と思って言葉を変えたんでした。
まさか次の日から獣医さん通いがはじまることもしらなかったし。
たまたまだったのか。
変えられない運命だったのか。
必然だったのか、偶然だったのか、
新しいノートに綴りはじめた4月8日からのクロエちゃんの記録。
内容は決して明るいものではないんですが
わたしがクロエちゃんを間近で見ていた記憶として
大切ににしていかなくては。

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